刺身庖丁さしみばうちやう)” の例文
「主人に地藏樣を抱かせたり、刺身庖丁さしみばうちやうで首を刺したり、そんな惡い人間が、私達と一緒に暮してゐるとは思はれません」
「床の中で過失は變ぢやありませんか。おまけに首筋を刺身庖丁さしみばうちやうで切られて頓死は開闢かいびやく以來で——」
白い晒木綿さらしもめんに包んだのは、何處のお勝手にもあると言ふものではなく、時々は刺身庖丁さしみばうちやうの代りにもなつたらしい、細作りの出刄で、血に染んで慘憺たる色をして居りますが
二階の炬燵こたつを拔いて此處へ降り、廊下へ出て、若い女共の寢込んでゐる部屋の前を、主人の部屋へ忍んで行くのは何んでもない——お勝手から刺身庖丁さしみばうちやうを取出して、主人を刺すと
誰が入れたか磨ぎすました刺身庖丁さしみばうちやうが入つて居たり、物置の二階から、あるべき筈のない、澤庵石が落ちて來て、危ふく頭を割りかけたり、——さう言つた無氣味なことが續出するので
裏庭のがけ下に、石の地藏樣を抱いたまゝ轉げ落ちて、その上、刺身庖丁さしみばうちやうで首筋を深々と刺され、更に、しまの前掛で顏を包んで、眞田紐さなだひもでその上を、耳から眼、鼻へかけて縛つてあるのです。
主人をあやめたといふ、薄刄のよく切れさうな刺身庖丁さしみばうちやうの外には、何んの變つたものもなく、窓も、天窓も、入口の建てつけも、嚴重の上にも嚴重を極めて、此處から曲者の侵入した樣子はありません。