凝血ぎょうけつ)” の例文
足のふみ場もなくころがっているのはおおかた疎開家屋そかいかおくの跡片付に出ていた女学校の下級生だが、顔から全身へかけての火傷や、赤チン、凝血ぎょうけつ油薬ゆやく
原爆詩集 (新字新仮名) / 峠三吉(著)
僕は鬼神きじんのような冷徹さでもって、ミチミの身体をんだ空虚からの棺桶のなかを点検した。そのとき両眼に、けつくようにうつったのは、棺桶の底に、ポツンと一としずく、溜っている凝血ぎょうけつだった。
棺桶の花嫁 (新字新仮名) / 海野十三(著)