冒涜ばうとく)” の例文
八五郎の説明は途方もないものでしたが、この冒涜ばうとく行爲も、相手が確かに男とわかつて、平次の神經を痛める程の事件でもありません。
私のした事はあらゆる冒涜ばうとくである
太陽の子 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
お葉は急に口をつぐみました。男に逢ふのを一生の大事と考へるやうな、冒涜ばうとく的な習慣を身につけたことが、フト極りが惡かつたのでせう。
懷ろに突張る十手を、そつと後ろの方に廻したのも、職業意識がこの清らかな娘の死を冒涜ばうとくしはしないかと——平次らしいたしなみがさせたさゝやかな仕草でせう。
家康を神樣扱ひにした時代、お墨附冒涜ばうとくは恐ろしいタブーだつたことはいまさら言ふまでもありません。
三輪の萬七はそれを直してもやらなかつたやうで、それはひどく冒涜ばうとく的にさへ見えるのです。
蚊帳かやと線香と桑原の呪文じゆもんで表象される迷信的な江戸つ子が、大雷鳴、大夕立の眞つ最中に、冒涜ばうとく的な言動、——わけても人殺しなどといふ、だいそれたことをやりさうもないことは
十八娘の死骸は、多少の變化があるにしても、毛程の傷も斑點はんてんもないことはもとの通りで、さすがの平次も、この執拗しつあう冒涜ばうとくに自分を耻ぢ恐れて、默つて引下がる外はなかつたのです。
何が何んであらうと、死骸を冒涜ばうとくすることは、八五郎にも苦々しい限りです。