ねご)” の例文
その僥倖をねごうてボンヤリしていたというに至っては、いかに彼が時勢に暗かったとは言え、むしろ滑稽千万な事ではあるまいか。
道鏡皇胤論について (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
さて田舎の旅宿が大抵その講の元を勤める。盗難多き旅宿は営業ならぬからで、庚申塚を道側に立てるも主として盗難少なく道路安全をねごうての事と見ゆ。
そして天皇もそれにお迷いになり、道鏡も始めて大それた野心を起し、清麻呂によって面責せられた後になってまでも、彼はなお平気で僥倖をねごうていることが出来たのである。
道鏡皇胤論について (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
道鏡は実に彼にゴマかされていたのである。時勢に暗く人を見るの明なき道鏡が、最後までも野心を包蔵して僥倖をねごうていたということも、満更無理ではなかったのであろう。
道鏡皇胤論について (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
寂静をねごうて俗塵を避け、山居して禅行修道せんとするものは、三綱連署して官の許可を得るを要する。それも許された場所にのみ限って、決して他処に向かうことはできなかった。
俗法師考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)