倐忽しゅっこつ)” の例文
すすきの芽が延びて来た。春が倐忽しゅっこつと逝ったのである。五月雨さみだれ木下闇このしたやみ、蚊のうなり、こうして夏が来たのである。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
いやいや実は消えたのではない、傍らに立っていたりっぱでもない、小門を持った二階屋へ、消えてしまったといってもよいほどに、倐忽しゅっこつとはいり込んでしまったのである。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
彼唖然として心茫々、回顧すれば老僧の姿、又倐忽しゅっこつとして消亡す。(下略)
高島異誌 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)