人寄場ひとよせば)” の例文
こうした鷹揚おうよう呑気のんきな気分は、どこの人寄場ひとよせばへ行っても、もう味わう事ができまいと思うと、それがまた何となくなつかしい。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
涼気すずけの立ちはじめた時候に相応した新調の着物を着たり着せたりして、打連れて陽気な人寄場ひとよせばなどへ入って行った。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
こんな場末に人寄場ひとよせばのあろうはずがないというのが、私の記憶にかすみをかけるせいだろう、私はそれを思い出すたびに、奇異な感じに打たれながら、不思議そうな眼を見張って
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)