人三化七にんさんばけしち)” の例文
「馬鹿だなア、娘と聞くと眼の色を變へて乘り出しやがる。——四十八歳のゆき遲れで、人三化七にんさんばけしちだつた日にや、女房の取次があんなにはずむものか」
生まれ故郷の清河県せいかけんでもそうだったが、この街でもそろそろ兄さんを小馬鹿にする餓鬼がきどもの声が立っている。饅頭まんじゅう売りの人三化七にんさんばけしちだとか、ぼろッれの儒人こびとだとかろくな蔭口かげぐちを言やあしねえ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まさか美男の源吉が人三化七にんさんばけしちのお越に手を出さうとは思はなかつたよ。多分、浮氣者の源吉が、ほんの出來心で、たつた一度ふざけたのだらうが、醜女しこめのお越にとつては、命がけの事だつた。