上荷あげに)” の例文
夜にまぎれて上荷あげに船で密貿易の品を運び上げ、よくないことでもしていたのに違いない。……それはそれとしても、唐木屋利七は、一体、何のためにこんなところに用があッたンだろう。
日に一度は川口の船屋敷へ出張して上荷あげに積荷の宰領をしていたが、夏も終って、川口に白々しらしらと秋波が立つ頃になると、船溜ふなだめにいる船頭や水子かこが、このごろ谷津の斜面なぞえにあるお邸の高楼たかどのに、一晩中
うすゆき抄 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)