丈部はせつかべ)” の例文
埿部は波志毘登ハシビトなるを、本にハセツカベと訓みて、傍に「丈部」と書けるはいみじきひがことなり。丈部はせつかべとはいかく異なるをや、天武紀などに見えたる姓の埿部も同じ。
間人考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
貞観のはじめ前越後守伴龍男の従者吉弥きみこの広野ひろのの、その主の犯罪を官に密告せる書生物部稲吉を殴殺せしがごときその一なり。『将門記』に、平将門の駆使に丈部はせつかべ子春丸あり。
武士を夷ということの考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
駆使はせつかいに任ずるものはいずれ社会の落伍者で、同じく部曲の民と云っても、駆使部すなわち丈部はせつかべ(杖部とも)はその地位自ずから低く、他より軽視せられたものであったに相違ない。
間人考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
いわゆる丈部はせつかべなる駆使丁の徒はもとより、大化以前にあっていわゆる伴造とものみやつこの下に属し、雑多の職業に従事した部民の如き、或いは臣連等所属の部曲の如きは、すべてこの間人の類であったらしい。
賤民概説 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)