“さかいみなと”の漢字の書き方と例文
語句割合
堺港100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
蛸釣舟たこつりぶねや、荷舟や、幾つかの舟影は見えたが、彼女の待つ堺港さかいみなとから立った豊前通いの便船は、まだ帆影すら見えて来ない。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
泉州せんしゅう堺港さかいみなと旭茶屋あさひぢゃやに、暴動の起こったことが大坂へ知れたのは、異人屋敷ではこの馳走の最中であった。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
太郎左衛門が、眼に入れても痛くないほど可愛がっているこの一人娘は、先頃まで泉州堺港さかいみなとの出店にいたが、ちょうど武蔵が来る折、同じ船で、父の許へ帰っていた。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また、堺港さかいみなとは、本邦と海外とを結ぶ唯一の交易地でもあり、唐船からふね蛮船ばんせん入津にゅうしんも絶えない折から、長く乱脈な状態の下に業を停止されてあるのは、国家の損耗そんもうでもある。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この一月頃から、冬の海をのり越えて、続々、さかいの浦へ上陸した兵は、いつのまにか、大漁たいりょうの魚のように、堺港さかいみなとの町々にあふれ、その影を見ない所はないほどな数にのぼっていた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)