“けんちん”の漢字の書き方と例文
語句割合
油汁100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
大鍋の中の油汁けんちん沸々ふつ/\と煮立つて来て、甘さうなにほひが炉辺に満溢みちあふれる。主婦かみさんは其を小丼こどんぶりに盛つて出し、酒は熱燗あつかんにして、一本づゝ古風な徳利を二人の膳の上に置いた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
『今晩は何にいたしやせう。』と主婦かみさんは炉の鍵に大鍋を懸け乍ら尋ねた。『油汁けんちんなら出来やすが、其ぢやいけやせんか。河で捕れたかじかもごはす。鰍でも上げやせうかなあ。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)