“あさざむ”の漢字の書き方と例文
語句割合
朝寒100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
伊助は朝寒あさざむとは別に身を顫はせました。狐憑きつねつきから落ちた狐のやうな顏が、妙に惡賢こさを思はせます。
朝寒あさざむはまだやわらいでいなかった。彼女は例の貧しげな古い外套ブルヌースを着て、緑色のきれを頭からかぶっていた。その顔はまだ病気の名残りをとどめて、やせて青白く、頬がげっそりこけていた。
かつての上方女形おやま雀右衛門じゃくえもんの住居であったと聞くこの宿。お勝手や細廊下に働く人影も、小庭にりた竹のすがたも、みな道頓堀の名女形といわれた主のかたみかと、なんとなく朝寒あさざむのいじらしい。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)