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鮮
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すくな
ふりがな文庫
“
鮮
(
すくな
)” の例文
江戸先哲の嘉言善行にして世に伝えらるるものは既に
鮮
(
すくな
)
くない。鷲津毅堂母子の逸事の如きは特に記すべき価なきものかも知れない。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
香取秀真
(
かとりほつま
)
氏が法隆寺の峰の薬師で取調べたところに
拠
(
よ
)
ると、お薬師様に
奉納物
(
ほうなふもの
)
の鏡には、随分
傑
(
すぐ
)
れた
価値
(
ねうち
)
のものも
鮮
(
すくな
)
くなかつたが
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
鮮
(
すくな
)
くも道学者流の偽善はない。まことに明朗快闊、すべからく男性たるものかくの如く
晏如
(
あんじょ
)
たるべしといいたいところである。
現代能書批評
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
またついでに言うがよく植物学にも用うる毛茸を往々モウジと発音して教えている人が
鮮
(
すくな
)
くないが、これはモウジョウで茸にジの字音は無い。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
誰しも
然樣
(
さう
)
自分の思つたやうに物事の運べて居るものは
鮮
(
すくな
)
いのであるから、歳末には日月の逝き易くして、流水奔馬の如くなるを今更ながら感歎し
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
奥様は
外
(
そと
)
の
御歓楽
(
おたのしみ
)
をなさりたいにも、小諸は
倹約
(
しまつ
)
な
質素
(
じみ
)
な処で、お茶の先生は上田へ引越し、
謡曲
(
うたい
)
の師匠は
飴
(
あめ
)
菓子を売て歩き、見るものも聞くものも
鮮
(
すくな
)
いのですから
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
賃銀値上の運動にたづさはつた連中は、それを好い汐に馘首されたものも
鮮
(
すくな
)
い数ではなかつた。
籠の小鳥
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
二に曰く、
篤
(
あつ
)
く三宝を敬へ、三宝は
仏
(
ほとけ
)
法
(
のり
)
僧
(
ほふし
)
なり、則ち
四生
(
よつのうまれ
)
の
終
(
つひ
)
の
帰
(
よりところ
)
、万国の
極宗
(
きはめのむね
)
なり。
何
(
いづれ
)
の世何の人か
是
(
こ
)
の
法
(
みのり
)
を貴ばざる。人
尤
(
はなは
)
だ
悪
(
あ
)
しきもの
鮮
(
すくな
)
し、
能
(
よ
)
く教ふるをもて従ひぬ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
然るにいわゆる芸人に名取の制があって、今なお
牢守
(
ろうしゅ
)
せられていることには想い及ぶものが
鮮
(
すくな
)
い。尋常
許取
(
ゆるしとり
)
の
濫
(
らん
)
は、芸人があるいは人の
誚
(
そしり
)
を辞することを得ざる所であろう。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
今日の浮浪民たる所謂
山家
(
さんか
)
などという類の者の中にも、この浮浪系統の者で、昔から帝国臣民の戸籍に這入らず、代々浮浪生活を継続しているのも
鮮
(
すくな
)
からずあろうと思います。
特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
すべてそのころの歴史の局面は、遠く、ひろく、三韓の野山を包み、
干戈
(
かんくわ
)
つねに動きて止まず、任那の日本府また危からんとするの間に於て、悲壮なること、酸鼻なること、太だ
鮮
(
すくな
)
しとせず。
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
此の河岸の古本屋で珍書を
漁
(
あさ
)
る人も
鮮
(
すくな
)
くないが、掘出物は滅多にないらしい。僕も
屡
(
しばしば
)
、眼を皿のようにし、片端から漁って歩いたが、ニザールの仏文学史四巻を二十
法
(
フラン
)
で買ったのが関の山だった。
愛書癖
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
その男のいふのでは、牛程人間の役に立つものは
鮮
(
すくな
)
い。田を
耕
(
たが
)
へし、荷車を
曳
(
ひ
)
き、頭から
尻尾
(
しつぽ
)
の
尖
(
さき
)
まで何一つ捨てるところも無い。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
孔子は「人飲食せざるは
莫
(
な
)
し、
能
(
よ
)
く味を知るもの
鮮
(
すくな
)
きなり」と言っているが、確かに、その通りだと思うのである。
料理も創作である
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
自ら内より發する病も
鮮
(
すくな
)
くはない。山林庭園の草木を枯死せしむるものは
獨
(
ひとり
)
俗客の跋渉によるが爲めのみではない。樹木にはおのづから樹木の病がある。
十年振:一名京都紀行
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
元の天下を得る、もとより其の兵力に
頼
(
よ
)
ると雖も、成功の速疾なるもの、劉の
揮攉
(
きかく
)
の
宜
(
よろ
)
しきを得るに
因
(
よ
)
るもの
亦
(
また
)
鮮
(
すくな
)
からず。秉忠は実に
奇偉卓犖
(
きいたくらく
)
の僧なり。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
これまで発行せられたいろいろの雑誌に私の書いた小品文はそう
鮮
(
すくな
)
くなかった。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
世間を見るに、
美
(
い
)
い声が
醜
(
まず
)
い
口唇
(
くちびる
)
から出るのは
稀
(
めずら
)
しくも有ません。然し、この女のようなのも
鮮
(
すくな
)
いと思いました。一節歌われると、もう私は泣きたいような
心地
(
こころもち
)
になって、胸が込上げて来ました。
旧主人
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
女流声楽家三浦
環
(
たまき
)
と今は故人の千葉
秀浦
(
しうほ
)
との関係は
一頻
(
ひとしき
)
り
喧
(
やかま
)
しい
取沙汰
(
とりさた
)
になつたので、世間には今だにそれを覚えてゐる人も
鮮
(
すくな
)
くあるまい。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
今
(
いま
)
小唄川柳都々一の三形式については
暫
(
しばら
)
く言はず、
先
(
まず
)
俳諧と狂歌とについて見るにこの二者はその歴史的関係
互
(
たがい
)
に相深くその趣味また相似たる処
鮮
(
すくな
)
からず。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
とは言っても、孔子の言った如く、「人飲食せざるは
莫
(
な
)
し、
能
(
よ
)
く味を知るもの
鮮
(
すくな
)
きなり」は事実である。
味を知るもの鮮し
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
隅田川の水としいえば黄ばみ濁りて清からぬものと思い
馴
(
な
)
れたれど、水上にて水晶のようなる氷をさえ出すかと今更の如くに、源の汚れたる川も少く、生れだちより悪き人の
鮮
(
すくな
)
かるべきを思う。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
三タビ稿ヲ改メントスルノ意図ナキニ非ラザリキ。然レドモ当初稿ヲ脱セシ時ヨリ既ニ半歳ヲ過ギ一時
蒐集
(
しゅうしゅう
)
シタリシ資料ノ今
蚤
(
はや
)
クモ座右ニ
留
(
とど
)
メザルモノマタ
鮮
(
すくな
)
シトナサズ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ところが、「人飲食せざるは
莫
(
な
)
し、
能
(
よ
)
く味を知るもの
鮮
(
すくな
)
きなり」
道は次第に狭し
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
其集には却て収載せられてゐないものが
鮮
(
すくな
)
くないので、これを編輯したいと言ひ、白井は三代目種彦になつた高畠転々堂主人の伝をつくりたいと言つて、わたくしを驚喜させた。
来訪者
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
宗子
(
そうし
)
城邑ヲ納メラルヽモシカモ朝廷更ニ駿遠参三国ヲ賜ヒ、
先祀
(
せんし
)
ヲ奉ゼシム。君
与
(
あずか
)
ツテ力アリ。然レドモ謙冲敢テ功ニ居ラズ。マタカツテ人ニ語ラズ。
是
(
ここ
)
ヲ
以
(
も
)
テ世コレヲ
識
(
し
)
ル者
鮮
(
すくな
)
シ。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
鮮
常用漢字
中学
部首:⿂
17画
“鮮”を含む語句
鮮血
鮮明
新鮮
朝鮮
鮮麗
鮮紅
朝鮮人
鮮魚
鮮鯛
朝鮮征伐
鮮新
鮮鱗
鮮少
色鮮
鮮血淋漓
鮮卑
朝鮮風
朝鮮牛
朝鮮笛
鮮人
...