)” の例文
まず家畜ならばヤクが五十疋、馬が十疋位、畑ならば前に申した通りヤク二疋でいて一日かかって畑の十枚もやるのが関の山です。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
百坪足らずの前庭はいちめん茶色に枯れ縮んだ芝生におおわれているが、その一部にひとところ新しく土のき返された所がある。
花咲かぬリラ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
田をき、畑を打ちながらも、かれは時々母のほうを見て、母が楽しんでいれば楽しみ、母が淋しそうにいると淋しくなる。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お米も面喰めんくらったまま起き上って、裏の田圃へ駈け出した。田をいている百姓を見付けると、金切声を振り絞った。
いなか、の、じけん (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それは、日本の現代文学は総体として、その精神と方法とにおいて、きわめて深いところからきかえされる必要があるという疼痛のような自覚である。
心に疼く欲求がある (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
あたかも牛が田のあぜくときの歩みのように書くことをいい、よほど古い書き方であるということである。
法窓夜話:02 法窓夜話 (新字新仮名) / 穂積陳重(著)
ただ一つうまく行きそうなこととしては、牧場の大部分をき返し、ほとんど肉食を止めてしまうことである。しかしこの計画はおそらく成功しないであろう。
大阪市住吉区平野郷町の杭全くまた神社の御田植祭には、牛を遣って田をく所作がある。この牛は人間が扮するのであるが、何故か牛に扮すると短命になるとて氏子は嫌う。
見ると、稲を刈った後の田を、き返しているはずの祖父の姿が見えないのです。
勝負事 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
定め此婚姻こんいんさまたげんとたくみ奸計かんけいに當りつひにお光が汚名をめいかうむ赤繩せきじようたえたる所より白刄しらはふるつてかん白洲しらす砂石しやせきつかむてふいと爽快さうくわいなる物語はまたくわいを次ぎ章を改め漸次々々に説分くべし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
地をくもの、豆を蒔くもの、肥料を施すもの、土をかけるもの、こう四人でやるが、土は焼けて火のように成っている、素足で豆蒔は出来かねる、草鞋わらじ穿いてようやくそれをやるという。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
また後者と「く」ともおのずからいくぶんの縁故を生じて来るのである。
言葉の不思議 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
まずおれはあいつに、腹痛はらいたを起させてやろうと思ってあいつのお茶の中に、唾を吐き込んでやった。それからあいつの畑を、石のようにかんかんに固めてき返しが出来ないようにしておいた。
イワンの馬鹿 (新字新仮名) / レオ・トルストイ(著)
どうはあくまでしなやかに反らせ、ほとんど音もなく水に体をき入れた。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
屋敷のあとはきかえされて、今は陸稲おかぼ緑々あおあおと茂って居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
はらつてしまうものを。
いなほとんどないくらいであるから田地を正当の方法ではかるということは到底出来ない。そこでヤク二疋にすきを引っ張らしてその田地をかして見るです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
土のき返しから種蒔たねまき、苗代から施肥、収穫、脱穀、俵詰めまで、すべてかれらがやるのだそうである。
半之助祝言 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
きちん、と手際よく、き耕やされて筋目正しくならされた岱赭たいしゃ色の土の面の露霜がとけて、もやもやとした白い水気が、幾条も幾条も立ち初めて太陽の面をかすめたり、斜な光線にからんだりする。
かやの生立 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
沿道には、丸い茶の木の丘、咲きかけている桜、今年も兵や軍馬に踏まれずに無事に育ってくれと祈りながら麦をく百姓。野菜を川で洗うその土民の女衆。——飽くまでのどかな大和街道やまとかいどうだった。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのほか定り日にはお繩小屋へも仕事に出る、そういう忙しい刻のひまひまに畑に立つのだが、くろぐろとき返した土を見ると身がひき緊った。——大三郎さまの心のこもっている土だ。
日本婦道記:萱笠 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
窓の外には、若い赤松の林を越して、き返された土の、黒ぐろと新しい、柔らかそうな栽地が見え、そこからなだらかな丘になって、丘の上の雑木林と、り残された一本の大きな松が見えた。
山彦乙女 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
さくっとき返す手ぶりのたしかさはむしろ楽しげにさえみえた。
山だち問答 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
しきりに土をき返しているところだった。
山彦乙女 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)