踏迷ふみまよ)” の例文
と問わぬことまで深切しんせつに話します。それでよく仔細しさいわかってたしかになりはなったけれども、現に一人踏迷ふみまよった者がある。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
人間てものは誰でも誤って邪路に踏迷ふみまよう事があるが、心から悔悛めれば罪は奇麗にぬぐい去られると懇々説諭して
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
急ぎしに※らずも踏迷ふみまよあへぎ/\漸々やう/\秋葉の寶前はうぜんに來りしが此時ははや夜中にてゴーン/\となりしは丑刻やつかねなれば最早もはや何へも行難しふもとへ下ればおほかみ多く又夜ふけに本坊を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
途次みちすがらきこえた鬼門關きもんくわんぎようとして、不案内ふあんないみち踏迷ふみまよつて、やつ辿着たどりついたのが古廟こべうで、べろんとひたひ禿げた大王だいわうが、正面しやうめんくちくわつけてござる、うらたゞひと
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こひしに内よりは大音にて何者なにものなるや内へ這入はいるべしといふ吉兵衞大いによろこび内へ入りて申やう私し儀は肥後國ひごのくに熊本の者なるが今日の大雪おほゆきみち踏迷ふみまよ難澁なんじふいたす者なり何卒なにとぞなさけにて一宿しゆくぱん御惠おんめぐみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
踏迷ふみまよひ此處へ來りて一宿しゆくこひし故こゝろよくとめおいて衣類はぬれたれば此方のを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かくてわれ踏迷ふみまよひたるくれないの雪のなかをばのがれつ。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)