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くさあぜ
唯、こゝに、
低い
草畝の
内側に、
露とともに
次第に
消え
行く、
提灯の
中に、ほの
白く
幽に
見えて、
一張の
天幕があつた。——
晝間赤い
旗が
立つて
居た。
此の
旗が
音もなく
北の
方へ
斜に
靡く。
公園の
圍の
草畝を
枕にして、うちの
女中と
一つ
毛布にくるまつた。これに
鄰つて、あの
床屋子が、
子供弟子づれで、
仰向けに
倒れて
居る。
僅に
一坪たらずの
處へ、
荷を
左右に
積んで、
此の
人數である。