おか)” の例文
けだし冥々めい/\には年月をおかずときけば百年もなほ一日の如くなるべし。(菅公の神灵にるゐする事和漢に多し、さのみはとこゝにもらせり。)
是までに思い込まれし子を育てずにおかれべきかと、つい五歳いつつのお辰をつれて夫と共に須原すはらもどりけるが、因果は壺皿つぼざらふちのまわり
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
切害せつがいいたし候に相違無之儀と存じ奉つり候に付何卒なにとぞ御慈悲を以て兩人の解死人げしにん御吟味下ごぎんみくだおかれ候樣仕つり度依之此段願ひ上奉つり候以上
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
何でも二十両の金子きんすを拙者が盗んだに相違ないと疑われて見れば棄ておかれんで、荷物を検めさしたから斯様かように成ったので、何卒どうぞ手を引いて下さい
何卒どうぞ閣下かくかこれをおください。』と、ニキタは前院長ぜんゐんちやうまへつて丁寧ていねいふた。『あれ閣下かくかのお寐臺ねだいで。』と、かれさらあたらしくおかれた寐臺ねだいはうして。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
幾人この山奥でこの鉞にかかって命を落した人があるか知れない。そういえば捕われ人の前におかれた桶の赤黒いのも人の血潮で染った色に相違ないと思った。
捕われ人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それで僕の気象が性来今言ったようなのであるか、あるいはそうでなく、僕は小児こどもの時、早く不自然な境におかれて、我知らずの孤独な生活を送ったゆえかも知れないのです。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
こうして遠く離れた土地へ——海岸へ出れば向に大島の見えるような——そんな処へ独り彼女がおかれるというは、何事も夫が見せまいとする為であろうと想像された。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
衣裳をも同処おなじところおかず、同じ所にてゆあみせず、物を受取渡す事も手より手へじきにせず、よるゆくときは必ずともしびをともしてゆくべし、他人はいふに及ばず夫婦兄弟にても別を正くすべしと也。
女大学評論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
團子屋だんごや頓馬とんまたゞおかぬとうしほのやうにわきかへるさわぎ、筆屋ふでやのき掛提燈かけぢようちんもなくたゝきおとされて、つりらんぷあぶなし店先みせさき喧嘩けんくわなりませぬと女房にようぼうわめきもきかばこそ、人數にんず大凡おほよそ十四五にん
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
信一郎は、今此の答へを得ておかなければ永劫に得られないことを知つた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
其曲者を私しの云う通り藻西自身だとすれば全く違ッて参りますうでも左の手へ血をつけおかねば成らぬのです、何故と仰有おっしゃれば藻西ならば其文字を本統に老人が書たものと認められては大変です
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
ひでい権幕で、おめいらの様なものへは一日も貸しておかかれねい、店賃計たなちんばかりぢやねい、あつちこつち借財かりがあるさうだつていはつしやる、さういへばさうなんだが、わたしらあ茶だら一杯入れやしねい
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
けだし冥々めい/\には年月をおかずときけば百年もなほ一日の如くなるべし。(菅公の神灵にるゐする事和漢に多し、さのみはとこゝにもらせり。)
周旋しうせんすべし依て千兩は千石の御墨附おすみつきと御引替にくだおかるべしとかたらうに兩人とも昨日の動靜やうす安堵あんどしければこの事を所々へ取持たれば其を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
花「はい法恩寺の場所に来ております花車重吉という弱い角力取で、何卒どうぞお見知りおかれて皆様御贔屓に願います」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「やっと坊さんは来なくなった。」と心の上におかれた重い石を取り除けられたような気持で一人がいった。
(新字新仮名) / 小川未明(著)
『どうぞ閣下かっかこれをおください。』と、ニキタは前院長ぜんいんちょうまえって丁寧ていねいうた。『あれが閣下かっかのお寐台ねだいで。』と、かれさらあたらしくおかれた寐台ねだいほうして。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
暗黒くらきに住みなれたものは、暗黒くらきに物を見ると同じ事で、不自然なる境におかれたる少年は何時いつしかその暗き不自然の底にひそんで居る黒点を認めることが出来たのだろうと思います。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
信一郎は、今此の答えを得ておかなければ永劫えいごうに得られないことを知った。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
壁に耳の譬えだから声の洩れぬ様にしておかねば安心が出来ません
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
さて手毬てまりの大さになりたる時他のわらべが作りたる玉栗たまくり庇下ひさししたなどにおかしめ、我が玉栗を以他の玉栗にうちあつる、つよき玉栗よわき玉栗をくだくをもつて勝負しようぶあらそふ。
まだ日は西にかたむいたばかりだ。製造場のうちには、土方等の使っている鶴嘴つるはしや、土堀る道具がおかれてある。
暗い空 (新字新仮名) / 小川未明(著)
と成され印をすゑし一書を下しおかれ短刀は淺黄綾あさぎあやあふひ御紋ごもん染拔そめぬき服紗ふくさつゝみて下されたり。
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
かくごときをも源因結果の理法といえばそれまでです。けれども、かゝる理法の下に知らず/\このおかれた僕から言えば、此天地間にかゝる惨刻ざんこくなる理法すら行なわるゝを恨みます。
運命論者 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
亭主「是は打棄うっちゃっちゃアおかれない、ぐに……」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
さて手毬てまりの大さになりたる時他のわらべが作りたる玉栗たまくり庇下ひさししたなどにおかしめ、我が玉栗を以他の玉栗にうちあつる、つよき玉栗よわき玉栗をくだくをもつて勝負しようぶあらそふ。
ぼく一生いつしやう羅針盤らしんばんおかれたのはじつ此時このときです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)