あった)” の例文
「いくら寒くっても、ふところさえあったかけりゃあ驚くこともねえが、陽気は寒い。ふところは寒い。内そとから責められちゃあやり切れねえ」
半七捕物帳:69 白蝶怪 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
伊香保饅頭はあったかいうちは旨いがひえると往生で、今坂いまさかなんざア食える訳のもんではありません……へえー藤村ので、東京とうけいから来るお菓子で、へえ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
もう元に返って来る事になると非常の寒さで、幸いに日が照って居るものですからまあそのうちにも幾分かあったまりを感ずるような事でありました。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
早速金に換えてふところがあったまったので、サア繰出せと二人して大豪遊を極めたところが、島田の奴はイツマデもブン流して帰ろうといわんもんだから
三十年前の島田沼南 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
「でも買って行くとおっしゃったんでしょう」と押す。「ああ。——何だかあったか過ぎる晩だこと」と逃げる。「御湯のせいでござんすよ。薬湯はあったまりますから」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
車には黒い高い帽子をかぶって、あったかそうな黄ろい襟の附いた外套をた立派な人が乗っていたが、私がかおしかめて起上おきあがるのを尻眼に掛けて、ひげの中でニヤリと笑って
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「どうぞ此方こちらへ」と案内した、導かれて二階へ上ると、煖炉ストーブさかんいていたので、ムッとする程あったかい。煖炉ストーブの前には三人、他の三人は少し離れて椅子に寄っている。
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「おとっさん、あの駕籠の中へ、あったけえうどんを一ぺえ、くれてやってくんな」
大菩薩峠:34 白雲の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「ああ、美味うまがった。いきげえったようだちゃ。身体もあったまって……」
蜜柑 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
柴大人さいたいじんは生きてるぞ。まだ少しばかり体があったかい!」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼は少しくふところをあっためたので、すぐに港崎町の廓通くるわがよいをはじめて、岩亀楼の小秀という女を相方あいかたに、身分不相応の大尽風だいじんかぜを吹かせていたが
半七捕物帳:40 異人の首 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
又「あの雪崩口なだれぐちでな、何もお客様に愛想がねえから、あったまる様に是れを上げたいものだ、己がこしらえるからお前味噌で溜りをこしらえて、燗鍋かんなべの支度をして呉んな」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
甘いあったかな乳汁ちち滾々どくどくと出て来て、咽喉のどへ流れ込み、胸をさがって、何とも言えずおしい。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「横になってあったまっていらしったら好いでしょう。冷えると毒です」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「味噌湯の方、身体からだあったまっていがんべから……」
蜜柑 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「まあ、いゝじゃありませんか。初めておでなすったのですから、なにかあったかいものでも取らせましょう。」
三浦老人昔話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
男「泊る積りだったがけえって来た、爺さん其の衝立ついたてを二重に建てゝおくれ、そうして火を沢山入れて、火鉢を二つばかりよこしてくんな、何かあったかい物が出来るかえ」
重助「それじゃア此方こっちへおいでなさい、なんにも有りませんが茶飯が出来ましたから、味噌汁おつけでもあっためて御飯おまんまを上げたいから。心ざす仏さまへ御回向なすって下さいな」
「ねえ、姐さん。今時分そんなところにうろ付いていると、夜鷹よたかか引っ張りと間違えられる。この寒いのにぼんやりしていねえで、早くうちへ帰ってあったまった方がいいぜ。悪いことは云わねえ。早く帰んなせえ」
半七捕物帳:37 松茸 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
尼「何んぞ上げましょうか、寺だからお肴も何も無いが、あったかいお粥でも拵えて雑炊のようなものを上げましょう、私は穀類はいけませんが蕎麦掻そばがきは喰べるから有りますよ」
繼「本当についえでは有りませんか、是からも未だ長い旅をするのに、銘々めい/\蒲団の代を払うのは馬鹿々々しゅうございますよ、却って一人寝るより二人の方があったかいかも知れません」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
先から冷たいからこれもあったかゝったら旨かろうと思います……瓜揉は感心で、少し甘ったるいのは酢が少し足らない……今日きょう小峰こみねさんと云う芸妓げいしゃが参りますが、是も昔は長刀なぎなた
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
うしておくれな、私も淋しくっていけないから、私のネこの上掛うわがけ四布蒲団よのぶとんを下に敷いて、私の掻巻かいまきの中へお前一緒に這入って、其の上へ五布蒲団を掛けるとあったかいから、一緒にお寝な
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
これからあったかい物でおまんまを食べさせて、親子の者を丁寧に客座敷のかたに寝かして、自分は六畳の茶の間の方に寝ました。が明けると、お美代が側に床を並べて寝ていた庄三郎の居ないに驚いた。
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
山「誠に少ないがおっかさんに此金これで何ぞあったかい物でも買って上げて」
ひやではいけませんあったかいのを、おひなさんとこへ往って借りて来な、何か無いかうちに、何を何処かに往って鳥鍋かよせ鍋でも何でも熱い物でさいあれば………なにを雪が降ってる、雪だってお前春の雪
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
これから親子の者にお飯を食べさせたので、大きにあったまりがついた。
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
由「へえ腰があったまり草臥くたぶれけます、這入ってお出でなさい」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
繼「それじゃア脊中合せがあったかいから」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)