混雑こんざつ)” の例文
旧字:混雜
はしうへかはうへにぎはひを人達ひとたち仲見世なかみせ映画街えいぐわがいにもおとらぬ混雑こんざつ欄干らんかんにもたれてゐる人達ひとたちたがひかたあはすばかり。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
さてやがて乗込のりこむのに、硝子窓ガラスまど横目よこめながら、れいのぞろ/\と押揉おしもむでくのが、平常いつもほどはだれ元気げんきがなさゝうで、したがつてまで混雑こんざつもしない。
銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
この山と地質ちしつは同じです。ただ北側なため雑木ぞうきが少しはよくそだってます。〕いいや駄目だめだ。おしまいのことをったのは結局けっきょく混雑こんざつさせただけだ。云わないでおけばよかった。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
上野を出るあの混雑こんざつの汽車に、小さな女の子が一人で出掛けるのは、心許こころもとないと思ったが、これを差しむけた。ところが翌日、思いもかけず姉娘が、博雄を伴って悄然しょうぜんと帰って来た。
親は眺めて考えている (新字新仮名) / 金森徳次郎(著)
しかし今もかすかに記憶から呼び起されて来たやうに、山には、川には、またこの温泉場には、町のところどころに颺つてゐる白い湯気には、石段の両側に並んでゐる混雑こんざつした家並やなみには
父親 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
兵隊へいたいさん、ここへおかけなさい。」という子供こどもこえが、きこえました。ると混雑こんざつしたひとをわけてがったのは、八、九さいばかりのランドセルをった二人ふたり小学生しょうがくせいでありました。
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それでも、いざ就寝という時になって、どの室にもちょっとした混雑こんざつが生じた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
他の時なればうるさき混雑こんざつやと人をいとおこるべきに、ただうれしくてこらへられず、車をりて人のすまゝに押されて、言問団子ことゝひだんごの前まではきしが、待合まちあはす社員友人の何処いづこにあるや知られず
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
座元ざもとをはじめ、あらゆる芝居道しばいどう人達ひとたちはいうまでもなく、贔屓ひいき人々ひとびと出入でいりのたれかれと、百をえる人数にんずうは、仕切しきりなしにせて、さしも豪奢ごうしゃほこ住居すまいところせまきまでの混雑こんざつていたが
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
あの混雑こんざつのなかで、壺を抱えだすというのは抜目のないやつだと、マレー人のすることをながめているうちに、なんともつかぬ感動かんどうのうちを貫かれ、われともなくマレー人のそばへ這い寄った。
呂宋の壺 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
毎年の事ながら不意の大雪にて廿七日より廿九日まで駅中えきちう家毎の雪ぼりにて混雑こんざついたし、簷外えんぐわいたちまち玉山をきづき戸外へもいでがたくこまり申候。今日も又大雪吹ふゞきに相成、家内くら蝋燭らふそくにて此状をしたゝめ申候。
けれどもこれは必要ひつようがない。かえって混雑こんざつするだけだ。とにかくひどくさかになった。こんな工合ぐあい丁度ちょうどよく釜淵かまぶちに下りるんだ。遠くで鳥も鳴いているし。下の方でたにがひどく鳴っている。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
毎年の事ながら不意の大雪にて廿七日より廿九日まで駅中えきちう家毎の雪ぼりにて混雑こんざついたし、簷外えんぐわいたちまち玉山をきづき戸外へもいでがたくこまり申候。今日も又大雪吹ふゞきに相成、家内くら蝋燭らふそくにて此状をしたゝめ申候。