ふえ)” の例文
あづかなほ追々おひ/\に門弟ふえければ殊の外に繁昌はんじやうなし居たるに此程半四郎の實父半左衞門は不計ふとかぜ心地こゝちにてわづらひ付しかば種々醫療いれうに手を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それも年を追うて減少して行く。我邦の名画は年を追うてふえて来る。探幽の死んだ頃より今日の方が探幽の画も百倍多い。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
あとになり先になり、ふえもせずへりもせず、四つのまま、引かれて合うように、はじかれて離れるように、またどうしても四つでなくてはならないように
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
しか此節このせつ門並かどなみ道具屋だうぐやさんがふえまして、斯様かやうしなだれ見向みむきもしないやうになりましたから、全然まるでがないやうなもんでげす、うもひど下落げらくをしたもんで。
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
吾家うちでは子供もふえる、小商売こあきないには手を焼く、父親おやじ遊蕩のらくらあてにもなりませんし、何程なんぼまさりでも母親の腕一つでは遣切やりきれませんから、いやでも応でも私は口を預けることになりました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
初めければこれまた所々しよ/\の屋敷に出入もふえ段々だん/\と勝手も能成よくなり凡夫ぼんぷさかんなるときは神もたゝらずといふことむべなるかな各自仕合能光陰つきひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
変なもので、伊香保なんぞへって居ると交際つきあいふえる、帰って見ると先達せんだっては伊香保でと云うので、麻布あざぶの人が品川しながわ、品川の人が根岸ねぎしへ来て段々縁がつながり
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ことつぶしたばかりの鳥を湯や水へ入れると一層味が抜けます。鳥屋の方では味の抜ける事は構いません。水へ漬けておくと自然と肉へ水分を含んで量目めかたふえるし容積かさも大きくなります。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
伊之吉は仲間にも顔が売れてまいれば追々交際つきあいふえる上、大芳棟梁もとより深川の変人、世間向せけんむきへ顔を出すなどは大嫌いでございますから、養子の伊之吉が人の用いもよく
こしらへるには毎日々々時をたがへず其所をまはれば今何やが來たからもう何時成んと家々にて其商人をあてにするやうになりすれば商ひもかならずふえるものゆゑ御前おまへも町内は申に及ばず裏々うら/\
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
七「へえ……黄金はだん/″\ふえるかね、妙な事もあるもんですな」
梅若七兵衛 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
飯「言訳いいわけをするな、着物がふえると云うからいわ」