權能けんのう)” の例文
新字:権能
仍且やはり氣に懸ツてならぬ。そして惱む。幾ら美術家でも、女の心まで裸體にして見る權能けんのうがないから爲方が無い。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
宗助そうすけひとのするごとくにかねつた。しかもちながら、自分じぶん人並ひとなみこのかね撞木しゆもくたゝくべき權能けんのうがないのをつてゐた。それを人並ひとなみらしてさるごとおのれをふか嫌忌けんきした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
各自かくじこゝろにおつぎをほどふかおもはうともそれは各自かくじいうする權能けんのうぞくしてる。しかしながらおつぎへくはへようとするその極端きよくたん防遏ばうあつしようとすることも勘次かんじいうする權能けんのうである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
相互さうご權能けんのうえて領域りやうゐきをかとき其處そこにはかなら葛藤かつとうともなはれるはずでなければらぬ。若者わかものあひあつまればみな不平ふへいじやうかたうて、勝手かつて勘次かんじ邪魔じやまなこそつぱいものにしてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
おつぎはかつ青年せいねんとのあひだに一まじへることさへその權能けんのうおさへられてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)