朝湯あさゆ)” の例文
その支度したく朝湯あさゆにみがきげてとしもこほあかつき、あたゝかき寢床ねどこうちより御新造ごしんぞ灰吹はいふきをたゝきて、これ/\と、此詞これ目覺めざましの時計とけいよりむねにひゞきて
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そのくせ朝湯あさゆけるは、屹度きつと寐坊ねばうなさるのね」と細君さいくん調戲からかやう口調くてうであつた。小六ころくはらなかこれあに性來うまれつき弱點じやくてんであるとおもんでゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その頃はまだ朝湯あさゆの流行っている時代で、半七老人は毎朝六時を合図に手拭をさげて出ると聞いていたのに、日が暮れてから湯に行ったのは珍らしいと思った。
半七捕物帳:51 大森の鶏 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「好い天気だから起きたらどう? もう十時過ぎよ。あたし一時間も前に起きて、今朝湯あさゆに行って来たの」
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
寝て丁度ちょうど飯の出来上った頃起きて、そのまま湯屋にいっ朝湯あさゆに這入て、それから塾にかえっ朝飯あさめしべて又書を読むと云うのが、大抵緒方の塾に居る間ほとんど常極じょうきまりであった。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
明け釜元かまもと焚付たきつけ扨々昨夜ゆうべは危き事かなと一人いひつゝ吉之助初瀬留をもおこさんとしけるをり昨夜さくや喜八をとらへたる山田軍平は朝湯あさゆの歸り掛け煙草たばこかはんと喜八のみせ立寄たちよりしが未だおもてしまり居る故煙草たばこ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
はやえことがあるもんか。お天道様てんとうさまは、もうとっくに朝湯あさゆまして、あんなにたかのぼってるじゃねえか。——いってえしげさん。おめえ、てえたんだかきてたんだか、なぜ返事へんじをしてくれねえんだ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
柿色かきいろ蝶鳥てうどりめたる大形おほがた浴衣ゆかたきて、黒襦子くろじゆす染分絞そめわけしぼりの晝夜帶ちうやおびむねだかに、あしにはぬり木履ぼくりこゝらあたりにもおほくはかけぬたかきをはきて、朝湯あさゆかへりに首筋くびすぢ白々しろ/″\手拭てぬぐひさげたる立姿たちすがた
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おこし今朝はさむければ早く起て朝湯あさゆゆきあたゝまらんと呼覺す聲を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「どうかして、朝湯あさゆだけきたいね」と宗助そうすけつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
朝湯あさゆたァしゃれてるの」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)