旅費りょひ)” の例文
おとこは、うちめて、留守るすとなりひとたのんでたびかけたのであります。もとよりたくさんの旅費りょひっているわけではありません。
おかしいまちがい (新字新仮名) / 小川未明(著)
ややありて旅費りょひもとめてここを去りぬ。後に聞けば六郎が熊谷に来しは、任所にんしょへゆきし一瀬があといてゆかんに、旅費なければこれをぬとてなりけり。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
あなたを同伴どうはんすることは、ひじょうに、ゆかいなことにちがいない。旅費りょひはわたしが持ちますよ。
諭吉ゆきちは、べつにけらいなどいりませんが、はんからけらい一人ひとりぶんの旅費りょひがでましたので、じゅくのなかまに、だれか江戸えどへいきたいものはないかといいますと、岡本周吉おかもとしゅうきち原田磊蔵はらだらいぞうという友人ゆうじん
しかし、たびをしているあいだに、っているだけの旅費りょひ使つかいはたしましたから、このまちはたらいて、またたびをしようとおもっています。
生きた人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それで、故郷こきょうかえ旅費りょひにでもなればいいということを——こころのうちでは、そんなになるとはおもわなかったけれど——いったのでありました。
南方物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
開帳かいちょうだって、つぎのには、あんなことがあったとかんがえると、旅費りょひのできたのをさいわいに、はやく目的地もくてきちをさしてゆこうと決心けっしんしたのであります。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
なにをするにしても、病身びょうしんであって、おもうようにちからず、つかれていましたから、ほんとうに、どうしたら旅費りょひがつくれるだろうとかんがえながら、少年しょうねんみちあるいていました。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしは、北海道ほっかいどう知人ちじんがありますので、そこへたよっていきたいとおもいます。しかし、それにしては、すこし旅費りょひりません。それで、んだちち形見かたみですが、ここに時計とけいっています。
般若の面 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むらひとたちは不平ふへいをいいながら、ふたたびくわをるようになりましたが、しまからきた三にんおとこは、かえ旅費りょひもなく、いつまでも、やま小舎こや寝起ねおきをしていなければなりませんでした。
少年しょうねんは、もうすこしかねがたまったら、それを旅費りょひにして、西にしほう温泉場おんせんばをさして、かけるつもりでいましたやさきでありましたから、んでもこのかねされないとおもっていました。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ひめさまは、旅費りょひなどは用意よういしてきたので、べつにおかねはほしくもなかったが、こうしてしんせつにらぬひとがいってくれるのを、あだにおもってはならないとおもって、ふかくおれいもうされました。
お姫さまと乞食の女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
といって、主人しゅじんは、旅費りょひとからすをおじいさんにあたえたのであります。
からすの唄うたい (新字新仮名) / 小川未明(著)
「はやく、旅費りょひだけでもかせいでかえりたいもんだ。」