放蕩のら)” の例文
ほほと手を振りて『なんのそれに及びましよ。あれは私が、遁れぬ縁家の息子株。相応な身分の人でござんしたのなれど。放蕩のらが過ぎての勘当受け』
したゆく水 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
行先ゆくさき何處いづこちゝなみだは一さわぎにゆめとやならん、つまじきは放蕩息子のらむすこつまじきは放蕩のら仕立したつ繼母まゝはゝぞかし。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
色が白いとか恰好が何うだとか言ふて世間の人は暗雲やみくもに褒めたてたもので御座ります、私が如何にも放蕩のらをつくして家へとては寄りつかぬやうに成つたを
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
お歳暮には何ほど下さりますかと、朝より寝込みて父の帰りを待ちしは此金これなり、子は三界の首械くびかせといへど、まこと放蕩のらを子に持つ親ばかり不幸なるは無し
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
歳暮せいぼにはなにほどくださりますかと、あさより寢込ねこみてちゝかへりをちしは此金これなり、は三がい首械くびかせといへど、まこと放蕩のらおやばかり不幸ふかうなるは
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
生死の分目といふ初産に、西應寺の娘がもとより迎ひの車、これは大晦日とて遠慮のならぬ物なり、家のうちには金もあり、放蕩のらどのが寐ては居る、心は二つ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
生死しようし分目わけめといふ初産に、西応寺さいおうじの娘がもとより迎ひの車、これは大晦日とて遠慮のならぬ物なり、家のうちには金もあり、放蕩のらどのがてはいる、心は二つ
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
生死しようし分目わけめといふ初産ういざんに、西應寺さいおうじむすめがもとよりむかひのくるま、これは大晦日おほみそかとて遠慮ゑんりよのならぬものなり、いへのうちにはかねもあり、放蕩のらどのがてはる、こゝろは二つ
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
子が生れたら気が改まるかとも思ふてゐたのであらうなれど、たとへ小町と西施せいしと手を引いて来て、衣通姫そとほりひめが舞ひを舞つて見せてくれても私の放蕩のらは直らぬ事に極めて置いたを
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うまれたらあらたまるかともおもふてたのであらうなれど、たとへ小町こまち西施せいしいてて、衣通姫そとほりひめひをつてせてれてもわたし放蕩のらなほらぬことめていたを
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
お玄關からお歸りでは無いお出かけだぞと圖分づぶ/\しく大手を振りて、行先は何處、父がなみだは一夜の騷ぎに夢とやならん、持つまじきは放蕩のら息子、持つまじきは放蕩を仕立る繼母ぞかし。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
さては放蕩のらかと人々顔を見合せてお峯が詮議せんぎは無かりき、孝の余徳は我れ知らず石之助の罪に成りしか、いやいや知りてついでかぶりし罪かも知れず、さらば石之助はお峯が守り本尊なるべし
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
私が如何いかにも放蕩のらをつくして家へとては寄りつかぬやうに成つたを、貰ふべき頃に貰ふ物を貰はぬからだと親類の中の解らずやが勘違ひして、あれならばと母親が眼鏡にかけ、是非もらへ
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
わたし如何いかにも放蕩のらをつくしてうちへとてはりつかぬやうにつたを、もらふべきころもらものもらはぬからだと親類しんるいうちわからずやが勘違かんちがひして、れならばと母親はゝおや眼鏡めがねにかけ、是非ぜひもらへ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
子は三界の首械くびかせといへど、まこと放蕩のらを子に持つ親ばかり不幸なるは無し、切られぬ縁の血筋といへば有るほどの惡戲を盡して瓦解ぐわかいの曉に落こむは此淵、知らぬと言ひても世間のゆるさねば
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
一年目には私が処にもお目出たうを他人ひとからは言はれて、犬張子や風車を並べたてる様に成りましたれど、何のそんな事で私が放蕩のらのやむ事か、人は顔の好い女房を持たせたら足が止まるか
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
年目ねんめにはわたしところにもお目出めでたうを他人ひとからははれて、犬張子いぬはりこ風車かざぐるまならべたてるやうりましたれど、なんのそんなことわたし放蕩のらのやむことか、ひとかほ女房にようぼたせたらあしまるか
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)