手槍てやり)” の例文
現在よりもね——ヨブの大鯨おほくぢら手槍てやりだの投槍だの鎖子鎧くさりよろひだのを滅茶々々にしたのと同じやうに、私は、他の人間が鐵とも眞鍮とも思ふ妨害を
鯨を見つけたら、伝馬船てんませんと漁船で、鯨に突進して、もり手槍てやり爆裂弾ばくれつだんをつけた銛を、鯨にうちこんで、鯨と白兵戦をやって、しとめるのである。
無人島に生きる十六人 (新字新仮名) / 須川邦彦(著)
それから帰って身支度をして、長押なげしにかけた手槍てやりをおろし、たかの羽の紋の付いたさやを払って、夜の明けるのを待っていた。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
和尚は手槍てやりを小脇にかい込んで、忍び足に本堂の方へ行く。後には比丘尼びくに梵妻ぼんさい手燭てしょくそでにおおいながらついている。
おばけの正体 (新字新仮名) / 井上円了(著)
だが、庭へはいると、そこここに、あけになった侍の死骸が横たわっている——三人、四人、中には、手槍てやりをもって、鮮血のなかに伏しているのも見えた。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
黒木長者の雇人が二三十人、木刀や手槍てやりまで持出して、地蔵様を屋敷内に移そうとすると、土地の人は、くわ、鎌、竹槍でよろって、そうはさせねえという騒ぎ。
そのときキクッタの目についたのはそこにチャラピタが落した、長さ二メートルばかりの手槍てやりでした。
熊捕り競争 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
熊の穴居こもりたる所をみつくれ目幟めじるしをのこして小屋にかへり、一れんの力をあはせてこれをる。その道具だうぐの長さ四尺斗りの手槍てやりあるひ山刀やまがたな薙刀なぎなたのごとくに作りたるもの、銕炮てつはう山刀をのるゐ也。
「おねがひだから、しづかにしてゐてくんな」とたのみました。しづかになつたやうでした。すると、こんどはあぶやつぎん手槍てやりでちくりちくりとところきらはず、肥太こえふとつたうしからだしはじめました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
御所望ごしょもう致す、そのお手槍てやりをお貸し下されますまいか」
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
みな、一ようの陣笠じんがさ小具足こぐそく手槍てやり抜刀ぬきみをひっさげて、すでに戦塵せんじんびてるようなものものしさ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「主人の元が元ですから槍は二本ございます、六尺の手槍てやりと、二間半の大身おおみの槍と」
銭形平次捕物控:282 密室 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
かがごしにツツとさがった老臣の伊東十兵衛は、はかまのひだをつまみあげ、いま、殿とののおへやにはいる時は、脇部屋わきべやのそとにのこしておいた手槍てやりを持とうとして、そこを見ると、あるはずの槍がない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手槍てやりとか、もりとかを——」
一同、手をむなしくして、屋根やねからりかけた時だった。下に待っていた老臣ろうしん伊東十兵衛いとうじゅうべえが、なにか意味いみの聞きとれない絶叫ぜっきょうをあげたかと思うと、二そう欄間らんまから、手槍てやりをつかんだまま仰向あおむけに
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)