“手巾”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ハンケチ47.7%
ハンカチ30.1%
はんけち11.9%
ハンカチーフ3.4%
しゅきん1.1%
はんかち1.1%
ムウショアール0.6%
はんかちーふ0.6%
ムシヨワアル0.6%
これ0.6%
しゆきん0.6%
てぬぐい0.6%
シュキン0.6%
ハンケナ0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
男でも日曜は新しい青いワイシャツの胸に真白な手巾ハンケチのぞかせている。教会は彼らにとって誠に楽しい倶楽部クラブ、ないし演芸場である。
時に依つて萬歳の叫喚で送られたり、手巾ハンカチで名殘を惜まれたり、または嗚咽でもつて不吉な餞を受けるのである。列車番號は一〇三。
列車 (旧字旧仮名) / 太宰治(著)
滝田くんはじめてぼくの家へ来たのはぼくの大学を出た年のあき、——ぼくはじめて「中央公論ちゅうおうこうろん」へ「手巾はんけち」という小説しょうせつを書いた時である。
滝田哲太郎君 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
輕氣球けいききゆううへでは、たちま吾等われら所在ありか見出みいだしたとへ、搖藍ゆれかごなかから誰人たれかの半身はんしんあらはれて、しろ手巾ハンカチーフが、みぎと、ひだりにフーラ/\とうごいた。
「……布にて手足をまかれ、顔は手巾しゅきんにてつつまれて出ず。イエス彼らに言いけるは、彼を解きて歩かしめよ」
船はやおら桟橋を離れた。空色そらいろぎぬ笑貌えがおの花嫁は、白い手巾はんかちを振り/\視界の外に消えた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
先生はうっすらと汗をかいて、両手の中で手巾ムウショアールをごしゃごしゃにしたり、引っ張ったりしている。
犂氏の友情 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
なお其袂そのたもとから手巾はんかちーふ取出とりだして、声立てさせじと口にませた。くして冬子は、空屋あきやまで手取てど足取あしどりに担ぎ去られたのであった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
洋服を着て仕舞しまへば、時計、手帳、蟇口がまぐち手巾ムシヨワアル、地図、辞書、万年筆まんねんふでと、平生持歩く七つ道具はの棚とこの卓とに一定して置かれてあるので、二分と掛らないで上衣うはぎ下袴パンタロン
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
新さん、手巾これでね、汗を取ってあげるんですがね、そんなに弱々しくおなんなすった、身体から絞るようじゃありませんか。ほんとに冷々ひやひやするんですよ。
誓之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
舟の横浜を離るるまでは、天晴あつぱれ豪傑と思ひし身も、せきあへぬ涙に手巾しゆきんを濡らしつるを我れながら怪しと思ひしが、これぞなか/\に我本性なりける。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
手巾てぬぐいを出してまげを払う)少し急いで歩いたものだから、汗がじっとりしたよ。(額や首をふく)
出家とその弟子 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
佻易チョウイニシテ威ナク、音楽ヲ好ミ、倡優ショウユウカタワラに在リ、被服軽絹ケイケン、常ニ手巾シュキン細物サイブツヲ入レタル小嚢コブクロヲ懸ケ、人ト語ルニハ戯弄ギロウ多ク、ヨロコンデ大笑スルトキハ、頭ヲツクエニ没スルマデニ至リ
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あやまりまんがな。そない言はんかてあやまりまんがな」爺さんはぢ曲げるやうにして強ひて笑顔を作りました。そして手巾ハンケナの結び目から小猫の死骸を覗き込みながら言ひました。
黒猫 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)