御前みまえ)” の例文
けれどもまた、そんなにしてたすけてあげるよりはこのままかみ御前みまえにみんなで行く方が、ほんとうにこの方たちの幸福こうふくだとも思いました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
淫奔いんぽん、汚濁、しばらくのも神の御前みまえに汚らわしい。いばらむちを、しゃつの白脂しろあぶらしりに当てて石段から追落おいおとそう。——があきれ果てて聞くぞ、おんな
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「わたくしは國の神でサルタ彦の神という者です。天の神の御子みこがお降りになると聞きましたので、御前みまえにお仕え申そうとして出迎えております」
「おそれ多くも、みかどでいらせられる。たとえかかるお姿にはならせられても、万乗ばんじょうの天子の御前みまえ
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宇治山田の米友は、碓氷峠うすいとうげいただき、熊野権現の御前みまえの風車にもたれて、遥かに東国の方を眺めている。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
神の御前みまえで楽しく暮らせるような来世のために、現世において信仰の生活を導いて下さるならば、ただちに神を求めなければならないということを、お互いに考えんがためである。
御前みまえにひれふすためぞ
刻苦勉励、学問をもつかまつり、新しき神道を相学び、精進潔斎しょうじんけっさい朝夕あさゆう供物くもつに、魂の切火きりび打って、御前みまえにかしずき奉る……
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ここにアメノオシヒの命とアマツクメの命と二人が石のゆきを負い、あたまこぶになつている大刀たちいて、強い弓を持ち立派な矢を挾んで、御前みまえに立つてお仕え申しました。
清子は、大日如来だいにちにょらい御前みまえに、長いことぬかずき、また、地蔵菩薩の宝前ほうぜんに、香や花をささげ、地蔵経一巻を声ひくくんで、いつものように、杉木立の小道を、やかたの方へもどって来た。
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
禰宜 人妻にしては、艶々つやつや所帯気しょたいげ一向いっこうに見えぬな。また所帯せぬほどの身柄みがらとも見えぬ。めかけ、てかけ、かこいものか、これ、霊験あらたかな神の御前みまえじゃ、明かに申せ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「のう卯木。……所も住吉の御前みまえ、今朝のことを、忘れまいぞ」
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
神の御前みまえに祝いつるかな
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)