つえ)” の例文
やつくれえばかに運のつええやつアねえぜ。ぶつちゃア勝つ、遊んで褒美ほうびはもれえやがる、鉄砲玉アあたりッこなし。運のいいたやつのこっだ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
おえねえ頓痴奇とんちきだ、坊主ぼうずけえりの田舎漢いなかものの癖に相場そうば天賽てんさいも気がつええ、あれでもやっぱり取られるつもりじゃあねえうち可笑おかしい。ハハハ、いいごうざらしだ。
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いかにつええお父上でも、あれじゃア形なしにちげえねえ。でも、死骸の出ねえところをみると、ヒョッとすると——どこにどうしているかなア、あのお父上は
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
口惜しくって堪らねえから、棒を持って先へ廻り、車ッ骨をやろうと思うと、ひどつええ奴で、ピョイと頭の上まで飛上りやアがったが、天狗を見たような奴だ
から笑止をかしくつてやうねえな、えゝか、う、かうやんだよ、あゝ、本當ほんたうつええのがんだよ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
つええんだな、あにい」と三十がらみになる人足の一人が栄二に云った、「やるんならあにいみてえに思いっきりやらなくちゃあいけねえ、久しぶりに胸がすうっとしたぜ」
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
それからつええぞ、——獅子ライオンだってのっぽのジョンのそばあたりにもよれやしねえんだぜ! 己は、あの男が四人の者と取っ組み合って、其奴そいつらの頭を叩き合したのを見たことがある。
ほんに彼の児は気がつええ児だかんない。
農村 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
風邪かぜいたなんてか、今度こんだ風邪かぜつええからきらんねえなんて、しらばつくれてな」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
すると此の頃江戸から武者修行だと云って来ていた二人の侍が、その親船へ乗込んで海賊の親方を叩ッ切って、船へ火イ掛けやして、泥坊を根絶ねだやしにしただ、何とつええ侍じゃねえか
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「また船長せんちょになるつもりか? 手前はおしつええ野郎だよ、まったく。」
八「風吹かざふがらすびんつくで女の子に可愛がらりょうとアおしつええや、この沢庵たくあん野郎」
らやあつちうちにやげつちやあだから、あゝ、うでばかしぢやねえ、そらつくれえだからつええだよ、麥打むぎぶちとき唐箕たうみてゝちや半夏桃はんげもゝもらつたの、ひよえつとくちえたつきり
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
とっさん喧嘩ア止めだ……こいつは止めだ、滅法界めっぽうけえつええ奴もあれば有るものだ、飛びながら抜きやアがッたが、刀尖が己の髷へ当って手拭ぐるみぐというのは、刀剣きれものいのだろうが
それを頼んであの野郎を探し廻って、そうしてうちへ引寄せて、あなたさまはお眼が悪いし、嬢様は軟弱かよええから又あの野郎に逃げられでもすると仕様ががんせんから、つええ人を頼んで来て