ちつ)” の例文
此人方等こちとらは、やつか、へるんでなくつては、黄色きいろいのも、あをいのも、ちつこいものを、なんにすべいよ。」
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いまだからそんなくちもきけるんだ。あまつちよめ!……貴樣きさまはなだつた時分じぶんときたらな……どうだい、あの吝嗇けちくせえちつぽけな、えてなくなりさうなはながさ。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
段々だら/\りの谿底たにそこに、蹲踞しやがむだやうな寺の建物が見え、其の屋根を見渡しに、ずつと向うの山根やまねちつぽけな田舎家がこぼれたやうにちらばつてゐて、那様あんな土地ところにも人が住むでゐるのかと思はしめる。
茸の香 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
八九年まへのこと、わたしがまだ母様おつかさんのおなかなかちつさくなつて時分じぶんなんで、正月、春のはじめのことであつた。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「おお、すんでのところ。ちつぽけでも、たつた一つきやねえ生命いのちだ。あぶない。あぶない」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
のはうづにおほきないぬなので、前足まへあし突張つツぱつてつたから、ちつぽけな、いぢけた、さむがりの、ぼろツよりたかいので、いゝになつて、垢染あかじみたえりところあかしたながいので、ぺろりとなめて
迷子 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)