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宜敷
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よろしき
重四郎
先暫らくと
押止め必ず早まり給ふな親分の
敵は三五郎と知たる上其は
宜敷時刻を計つて
討洩さぬ樣に致すが
肝要なり殊に
今宵三五郎は宅に
居ず
然れば
仕懸て
行共其詮無しと云ふにぞ掃部是を
訴へる時には
我々は
兎も
角も
仲間の
衆へ二十兩出させた
上又々
番所へ引出しては何分
氣の
毒にて
我等濟難きにより
先内々詮鑿致されよとは云ものゝ
明日の
拂ひに
困らるべければ
我等二百
兩用立んにより
夫にて
此節季は
濟さるべし
尤も此金は
利分に及ばず
御都合宜敷折返濟成るべしと金子二百兩を
胡亂々々致候處へ
御武家樣御通り掛り成れ候て其方は
駈込訴訟かと
御聞成れ候間
然樣なれども如何して
宜敷やと承まはり候へば
斯樣々々致せと御教へ
成れ其上訴状は
持來りしかと
御尋故之なくと申ければ
然らば認め
遣すべしとて
記て下され候と申べし
夫さへ云へば
後は此方の物
向ふが大岡樣なれば何事も
察し
有べしと教へ平兵衞は