卒然いきなり)” の例文
それを、貴女あなた……いや、どうも、ああいう手合に逢っちゃかないませんて、卒然いきなりかくしてた棒を取直して、おやッと思う間に、ポンと一つ鼻面をちました。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
森影暗く月の光をさえぎった所へ来たと思うと少女むすめ卒然いきなり僕に抱きつかんばかりに寄添って
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
卒然いきなり本包を其処へほうり出し、あわてて弁当箱を開けて、今日のお菜の残り——と称して、実はべたかったのを我慢して、半分残して来た其物それをポチにる。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
そして卒然いきなり起上おきあがつて少年こどもの前にひざまづあたま大地だいちけて
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
賢ちゃんが吃驚びッくりして眼を円くした時、私は卒然いきなりバタバタと駈出し、前へ行く児にトンと衝当つきあたる。何しやがるンだいと、其児に突飛されて、又誰だかに衝当つきあたる。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)