割合わりあい)” の例文
と、金博士はちょっと不意打ふいうちのおどろきを示した。しかし大統領は割合わりあいにおちついていた。そして冬瓜とうがんのような顔をしかめていった。
伯父さんはぶりぶりして足を急がせたが、なにしろふとってるので頭と背中がゆれる割合わりあい一向いっこう足がはかどらなかった。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
それはあるいは今から五、六十万年あるいは百万年を数えるかも知れません、その頃今の北上の平原にあたるところは、細長い入海か鹹湖かんこで、その水は割合わりあいあさ
イギリス海岸 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
案外あんがいにさばけた挨拶あいさつをして、笑顔えがおせてくれましたので、わたくしたいへんにこころおちつき、天狗てんぐさんというものは割合わりあいにやさしいところもあるものだとさとりました。
加之それに擧止とりなしがおツとりしてゐたのと、割合わりあいに氣さくであツたのと、顔が綺麗だツたのとで、書生さんたちは來る度に、喰はずとも交々かはる/\幾らかづゝ菓子を購ツて遺ツた。
昔の女 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
爲替相場かはせさうばが六箇月かげつあひだやくわり回復くわいふくした割合わりあひかられば物價低落ぶつかていらく割合わりあいすくないのであるが、輸入品ゆにふひん爲替相場かはせさうば騰落とうらく影響えいきやうけそれ價格かかく騰落とうらくするわけであるけれど
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
俊亮自身は割合わりあい落ちついており、肥田の兄にそのことを知らしてやったきり、強いて本人の行方を捜そうともしなかったので、彼は、それをさほどの大事件とも思わず、肥田がいなくなって
次郎物語:03 第三部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
おやじさんは、顔のこわい割合わりあいにやさしい声を出して聞きました。
清造と沼 (新字新仮名) / 宮島資夫(著)
男は割合わりあいに落ちついて見送っている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
園部は、割合わりあいに元気に、美しい顔をニコつかせて帆村の前にあらわれた。それは如何にも自信ありに見えて、帆村探偵の敵愾心てきがいしんを燃えあがらせた。
麻雀殺人事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかし良人おっとわたくしよりもきに歿なくなってり、それにまたかみさまが、時節じせつればわしてもやるとまうされましたので、そちらのほう断念あきらめ割合わりあいはやくつきました。
あすこに大きな黄色の禿げがあるでしょう。あすこの割合わりあい上のあたりに松が一本生えてましょう。平ったくてまるでつぶれたきのこのようです。どうしてあんなになったんですか。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
さうしたならば銀行ぎんかうかねる、れば金利きんりあがる。あるひとが十三ゑん五十せんかねつてつたとすると、其金そのかねが一ゑん割合わりあいる。さうしたならばそれだけ其人そのひとちから減少げんせうするわけである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
したがってわたくしとしては割合わりあい平気へいき気持きもち自分じぶん臨終りんじゅう模様もようをおはなしすることができるのでございます。
ところがそのへん、ふもとゆる傾斜けいしゃのところには青い立派りっぱ闊葉樹かつようじゅ一杯いっぱいえているでしょう。あすこは古い沖積扇ちゅうせきせんです。はこばれてきたのです。割合わりあい肥沃ひよく土壌どじょうを作っています。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ダリアは割合わりあいに元気に窓のところに歩みよっては、パタンパタンと蝶番式ちょうつがいしきにとりつけてある雨戸あまどを合わせてピチンとがねろし、その内側に二重の黒カーテンを引いていった。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
割合わりあいに小さな細菌さいきんなどはよくわかりません。
手紙 三 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)