七五三しめ)” の例文
親王のお首を捨て置いたと傳へられるところは、土牢を去る二十歩のところで、小藪の周圍には、七五三しめなはが繞らしてあつた。
滑川畔にて (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
入口に七五三しめを張つた一つの坑口の前へ、淳二は羊三をつれて行つて見せた。カンテラが幾箇となくその口に懸けてあつた。
籠の小鳥 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
府下牛込小石川辺りにてなすところを聞くに、「麻糸の中に婦人の髪の毛三筋入れ、その縄を七五三しめに結う」という。
妖怪玄談 (新字新仮名) / 井上円了(著)
七五三しめも張らず、お雑煮も炊かず、ブリキの金盥の底に土を詰めて、其上で芥箱から拾うて来た古下駄を焚いて居るのが四五軒あつたが、多くは、何にもせずに寝て居た。
やっと間に合った汽車の機関車に七五三しめかざりのしてあったのが当時の自分には珍しかった。
二つの正月 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
門松かどまつは雪の中へたて七五三しめかざりは雪ののきに引わたす。礼者れいしや木屐げたをはき、従者とも藁靴わらぐつなり。
その祭礼は十一月で、一年に一度神職かんぬしをよんで、神棚かみだな七五三しめ繩を張り、燈明をつけて、祝詞のりとをあげてもらひます。そして親類の者や、近所の人達を呼んで御馳走ごちそうを致します。
蛇いちご (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
菰冠こもかぶりがひとつドデンと据えられ、輪飾りや七五三しめ飾りがちらばっている大きな台所へゆくと、チャンと大工道具が置かれてあった。お八重が棚板を二枚持ってきてニコッと笑っていった。
円太郎馬車 (新字新仮名) / 正岡容(著)
門松かどまつは雪の中へたて七五三しめかざりは雪ののきに引わたす。礼者れいしや木屐げたをはき、従者とも藁靴わらぐつなり。
その所の真ん中に一間半四方ほどのかやぶきの東屋あずまやを建て、この内に四、五尺四方、高さ三、四尺ばかりに土をもて築き上げ、その上へ碁盤をおき、盤の上に碁器を二つならべ、軒には七五三しめ飾り
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
さてだん中央まんなかに杉のなま木をたてゝはしらとし、正月かざりたるものなにくれとなくこのはしらにむすびつけ又はつみあげて、七五三しめをもつて上よりむすびめぐらしてみののごとくになし
さてだん中央まんなかに杉のなま木をたてゝはしらとし、正月かざりたるものなにくれとなくこのはしらにむすびつけ又はつみあげて、七五三しめをもつて上よりむすびめぐらしてみののごとくになし
きんじて身をのごふ事をせずぬれたるまゝにて衣服きるものちやくす。するには米稿いねわらの方をくゝしたるを扇のやうにひらきてこれに坐す、(此わらは七五三しめのこゝろとぞ)かりにも常のごとくにはらず。
其江戸の元日をきけ縉紳朱門しんしんしゆもんことはしらず、市中しちゆうは千もん千歳ちとせの松をかざり、すぐなる 御代みよの竹をたて、太平の七五三しめを引たるに、新年しんねん賀客れいしや麻上下のかたをつらねて往来ゆきゝするに万歳もうちまじりつ。