一躍いちやく)” の例文
そのころ、故郷こきょう伝説でんせつをもとにして「イェスタ・ベルリング物語」という作品を書き、これによってラーゲルレーヴさんは一躍いちやく有名になりました。
にんえのきもとちて、「お月樣つきさまいくつ」とさけときは、幾多いくたの(おう同音どうおんに「お十三じふさんなゝつ」として、飛禽ひきんつばさか、走獸そうじうあしか、一躍いちやく疾走しつそうしてたちまえず。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
篤志とくしの方は、京都に行かれた節にでも、料理屋に命じて、醤油で煮つめさせ、一つ試みられてはいかが。これさえ食べれば、一躍いちやく茶漬けの天下取りになれるわけである。
京都のごりの茶漬け (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
思い出したように子供を坐らせておいて、街上の見知らぬ人を用心しなければならない必要を汗をいて説明するやら、全米国で、三、四歳の小児が一躍いちやく家庭の花形におさまり
チャアリイは何処にいる (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
獅子は久しく眼に見えぬおりの中で獅子吼ししくをしたり、まりもてあそんだり、無聊むりょうもだえたりして居ましたが、最後に身をおどらして一躍いちやく檻外らんがいに飛び出で、万里の野にはしって自由の死を遂げました。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
たゞ數艘すうそう軍艦ぐんかんおほくなつたくらいや、區々くゝたる軍器ぐんき製造せいぞうにも、おほ彼等かれらあと摸傚まねしてやうでは、到底とても東洋とうやう平和へいわ維持ゐぢし、すゝんで外交上ぐわいこうじやう一大いちだい權力けんりよくにぎこと覺束おぼつかない、一躍いちやくして、をううへ
うまい局所へ酒がまはつて、刻下こくかの経済や、目前の生活や、又それに伴ふ苦痛やら、不平やら、心の底のさわがしさやらを全然痲痺まひして仕舞つた様に見える。平岡の談話は一躍いちやくしてたかい平面に飛びがつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
カビ博士のことは、一躍いちやく有名となった。
海底都市 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そして、一八九一年に出版されたこの作によって、ラーゲルレーヴさんの名は一躍いちやく有名になったのです。
船長せんちやうめいもとに、水夫すいふ一躍いちやくしてなんおもむき、からうじて法華僧ほつけそうすくたり。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)