默祷もくたう)” の例文
新字:黙祷
後に殘つた平次、主人半左衞門の死骸の前にゐざり寄つて、吉之助と肩を並べ、靜かに默祷もくたうしてをります。
片手拜みに默祷もくたうをさゝげて、胸へかけた薄いものを剥ぐと、傷は背中——左の肩胛骨かひがらぼねの下から一と突き、心の臟をゑぐつた樣子ですから、まさに一とたまりもなかつたでせう。
主人甚兵衞の死骸は、八五郎の指圖で、庭に置いたまゝ、下女のお米は娘のお仙の介抱に餘念もなく、死骸の側には番頭の佐吉が、ぽつ然として默祷もくたうでも捧げて居るやうに番をして居りました。
平次はその前に坐つて暫らく默祷もくたうを續けました。