新字:麻布竜土町
麻布龍土町あざぶりゅうどちょうの中屋敷、俗に長州の檜屋敷ひのきやしきと呼ぶ方にはまだ土蔵が二十か所もあって、広大な建物も残っていた。打ち壊しはそこでも始まった。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それより後明治三十六年に及びてわれ亜米利加アメリカに渡らんとするの時暇乞いとまごひに赴きし折には先生は麻布龍土町あざぶりゅうどちょうきょを移され既に二度目の夫人を迎へられたりき。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)