髪結銭かみゆいせん)” の例文
其代り今じゃスッテンテンで、髪結銭かみゆいせんも伯母さん済みませんがという始末ですのさ。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
市村羽左衛門いちむらうざえもんとの情話で名高い、新橋の洗い髪のお妻が、髪結銭かみゆいせんもなく、仕方なしに、髪をあらったままで写した写真が百美人一等当選だったのを、美妙が六銭の入場料をはらって見て
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
小説だけは電車の中でも拾い読みをするほどであるが、そのほかには自分でも何が好きだかわからないと言っている位で、結局貸間の代と髪結銭かみゆいせんさえあれば、強いて男から金などもらう必要がない。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)