面羞おもはゆ)” の例文
お梅は芝居の大詰めを見るやうに、祖母一家の結着に好奇心を寄せてゐたが、比方こちらから樣子を見に行くのは面羞おもはゆかつた。
孫だち (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
背広服をきているのは私共の他に多くは見掛けなかったので、いくらか面羞おもはゆい心持であったが、柏は一向平気で、四辺を見廻しながら、チビリチビリ葡萄酒をやっていた。
日蔭の街 (新字新仮名) / 松本泰(著)
何をはなしたか忘れてしまったが、今でも頭脳に固く印しているのは、その時卓子の上に読半よみさしの書籍が開いたまま置かれてあったのを何であるとくと、二葉亭は極めて面羞おもはゆげな顔をして
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
得意のような面羞おもはゆいようなものを感じながら圓朝は、丁寧に頭を下げた。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
と、面羞おもはゆい言葉を支店長の耳に囁くと
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
女はなおも面羞おもはゆそうな様子をしながら
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)