電灯でんき)” の例文
旧字:電燈
山の手寄りの駅の空では赤や緑の電灯でんきが深紫の闇の中に煌々と二列に綴られていた。何かまたほうほうと汽笛ふえのけはいもした。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
されば午後の縁先なぞに向ひ合つて話をする若い女の白い顔が電灯でんきの光に舞ふ舞姫バレヱのやうに染め出される事がある。
花より雨に (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
お、電灯でんきは無論いているのである。それもコードがダラリと垂れ過ぎた。立ってひと結びくくりあげると、白い陣笠じんがさ形の上の埃が両手にくっつく。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
摂政宮殿下の行啓を仰いで、ついその翌晩、お祭り気分の濃厚な、黄やあおや赤やの色々の装飾の中で、実に鮮かに一斉に電灯でんきいた。それから五分とは経たなかろう。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)