雪白せつぱく)” の例文
これらの幽遠いうゑんな周圍のなかに、影が高く立ち、積み夜具と枕に、雪白せつぱくのマルセイユ木綿の上掛うはがけが白く光つてゐた。
立派な縣廳、陰氣な師範學校、石割櫻で名高い裁判所の前を過ぎて、四辻へ出る。と、雪白せつぱくの衣を着た一巨人が、地の底から拔け出た樣にヌッと立つて居る。——
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
雪白せつぱくの翼を拡げたる大鳥二つ
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
噫、さうだ、然だつけ、と思ふと、此過去の幻の如き巨人が、どうやら搖ぎ出す樣に見えた。が、矢張動かなんだ、地から生え拔いた樣に微塵も動かなんだ、秋天一碧の下に雪白せつぱくの衣を著て突立つたまま。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
真珠を飾つた雪白せつぱくの絹で
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)