隠遁的いんとんてき)” の例文
この隠遁的いんとんてきな安住の地位に対する、ハイドンの悩みは、時々イタリーに飛んで行きたい熱望となったにしても、ニコラウス侯の優遇はそれを拒んで
楽聖物語 (新字新仮名) / 野村胡堂野村あらえびす(著)
天性からも、また隠遁的いんとんてきな学者としての生活からも、元来イーゴイストである彼の小自我は、その上におおっている青白い病のヴェールを通して世界を見ていた。
球根 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
浪漫的ろうまんてきの青春性に富んでいたのであるが、その後次第に鎖国的となり、人民の自由が束縛されたため、文学の情操も隠遁的いんとんてき、老境的となり、上古万葉の歌に見るような青春性をなくしてしまった。
郷愁の詩人 与謝蕪村 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)