かんのき)” の例文
「敲いても駄目だ。ひとりで開けて入れ」と云う声が聞えただけであった。彼はどうしたらこの門のかんのきを開ける事ができるかを考えた。そうしてその手段と方法を明らかに頭の中でこしらえた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
見ると出がけに確かにかんのきを入れて南京ナンキン錠を卸しておいた筈の青ペンキ塗りの門の扉が左右に開いて、そこから見える玄関の向って左の一間四方ばかりの肘掛ひじかけ窓からは、百燭ぐらいの蒼白い電燈が
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)