「その通りだ。そこで俺は三十七を金科玉条きんかぎょくじょうとしている。八以上は困ると言ってあるのに、青山君の奥さんは四十三のふとちょを持って来たんだ」
人生正会員 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
またマルクスが金科玉条きんかぎょくじょうと頼む他の基本説も完全な真理ではない。少くも公理同様に扱ってもよい程度のものでない。
そして、この凡有ゆる物への冷酷な無関心に由って、結局凡有ゆる物を肯定する、という哀れな手段を、ファルス作家は金科玉条きんかぎょくじょうとして心得ているだけである。
FARCE に就て (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
自然派の文学者が金科玉条きんかぎょくじょうとする所の、主観排斥の議論や、平面描写主義や、無技巧主義などに、絶対的の権威を認める価値のない事は、己にも直ぐに分ってしまった。
小僧の夢 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
嘉六は小僧時代に習った漢字教訓を一生の金科玉条きんかぎょくじょうとして、すべてこれによって方針を立てる。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「これは安達君にしては名言だろう? 又もってお互の金科玉条きんかぎょくじょうとするに足る」
求婚三銃士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
乞う金の額を一銭に限るということも誰教えねど自ずと経験から、慾無しと呼ばれることが却って取得の多いのを白痴の一本調子に覚え込み、永年それを金科玉条きんかぎょくじょうにして護り通して来たのでした。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)