酒瓶てうし)” の例文
お志保は酒瓶てうしを持添へて勧めた。歓喜よろこび哀傷かなしみとが一緒になつて小な胸の中を往来するといふことは、其白い、優しい手のふるへるのを見ても知れた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
間も無く酒瓶てうしの熱いのが来た。敬之進は寒さと酒慾とで身を震はせ乍ら、さも/\うまさうに地酒の香を嗅いで見て
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
貴方あなたも一つ御上りなすつて下さい。』と銀之助は可羞はづかしがるお志保の手から無理やりに酒瓶てうしを受取つて、かはりに盃を勧め乍ら、『さあ、僕が御酌しませう。』
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)