郷愁きやうしう)” の例文
生涯しやうがい、その子供に逢ふ事もないだらうと思ふにつけて、富岡のさびた気持ちのなかに、その思ひ出は、郷愁きやうしうをそそつた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)
例へば、加藤武雄君の「郷愁きやうしう」のうちに、デコ坊(凸哥児)を註して
日本小説の支那訳 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
湖水、教会堂、凄艶せいえん緋寒桜ひかんざくら爆竹ばくちくの音、むせるやうな高原の匂ひ、ゆき子は瞼に仏印の景観を浮べ、郷愁きやうしうにかられてゆくと、くつくつとせぐりあげるやうに涙を流してゐた。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)