過程ぷろせす)” の例文
風は死んでゐたが、夜気そのものが冷え冷えと膚に迫つて、その度に冥想すべき何等かの思考力を植え落してゆくもののやうな、沈鬱な過程ぷろせすが感ぜられた。
黒谷村 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
彼はこの夜もその同じ過程ぷろせすを経過して、漸次現実の静寂が耳につきはぢめてくると、其の時その静かな夜気の中にふと湧き出でて次第に波紋を拡げてゆく狂燥な笑ひ声を鋭く耳に聴いた。
黒谷村 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)