退嬰的たいえいてき)” の例文
そう考えると、今日のように保守的といわんよりは退嬰的たいえいてきな、そして勉強の足りない編集方針を延長していったのでは、必ず早晩大きな破綻はたんを生ずるにちがいない。
しかし本来の風雅の道は決して人を退嬰的たいえいてきにするためのものではなかったと思う。
俳諧の本質的概論 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
生きた魂は退嬰的たいえいてきだ! ところが、社会主義的社会の人間は、少し死人臭いにおいはするけれど、ゴムで作ることができる——しかし、その代わり生きていない、その代わり意志がない
この甲型の人の目から見ると乙型の人間は消極的退嬰的たいえいてきな利己主義者に見える。
蒸発皿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
俳句を修業するということは、以上の見地から考えると、退嬰的たいえいてきな無常観への逃避でもなければ、消極的なあきらめの哲学の演習でもなく、またひとりよがりの自慰的お座敷芸でもない。
俳句の精神 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)