農奴のうど)” の例文
この男は名子なこという農奴のうどにも劣るひどい生活をつづけているうちに、碌な口ひとつきけないようになり、たまさかものを言うと、つい羽目をはずしてしまうのだろうと思った。
ボニン島物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
それは退職の陸軍中佐か二等大尉、乃至ないしは百人ぐらいの農奴のうどを持っている地主といった、まあ一口に言えば、中流どころの紳士と呼ばれるような独身者ひとりものがよく乗りまわしている型の馬車で。
ロージングの好んで歌う曲目は、泥の中から生れた、ロシア農奴のうどの陰惨極まるうごめきの声であり、その表現はこの上もなく晦渋かいじゅうで、そして芳年よしとしの絵に見るような、嗜虐的な陰惨さを持ったものだ。