辰野隆たつのゆたか)” の例文
いかにも建築家らしい表現だし寸評だと思われた。またよく辰野隆たつのゆたか氏からも会うたびに「私本太平記」への感想やべんたつをいただいている。
随筆 私本太平記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
辰野隆たつのゆたか先生を、ぼんやり畏敬いけいしていた。私は、兄の家から三町ほど離れた新築の下宿屋の、奥の一室を借りて住んだ。
辰野隆たつのゆたか博士が帝大の法科学生だった頃、あの運動場の日向ひなたで、友達へ伊十郎の『勧進帳』十何枚かを放送して聴かせる話をしていたように記憶している。
私の知っているのでは、荷風かふう、芥川、辰野隆たつのゆたか氏など皆そうである。漱石も露骨な書き方はしていないが、相当に藤村を嫌っていたらしいことは「春」の批評をした言葉のはしはしにうかがうことが出来る。
文壇昔ばなし (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)