軒燈ガス)” の例文
新字:軒灯
種夫に着物を着更えさせて、電車で駒形こまがたへ行った時は、橋本とした軒燈ガスが石垣の上に光り始めていた。三吉は子供を抱きかかえて、勾配こうばいの急な石段を上った。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
未だ日の暮れないうちから、軒燈ガスける人が往来をけ歩いた。町はチラチラ光って来た。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そのうちに、豊世やお雪は手を引き合いながら、明るい軒燈ガスの影を帰って来た。二人とも下町風の髪を結って、丁度背も同じ程の高さである。お雪は三十を一つ越し、豊世もやがて三十に近かった。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)